2024.11.29
「糖質」と聞くとあまり良いイメージがなかったり、ご飯も砂糖と同じ糖質だから控えた方が良いと考えたりする人も多いのではないでしょうか。
「糖質」の中でも種類があるのをご存知ですか?
脳にも身体にもなくてはならない「糖質」。糖質を正しく知り、健康的な人生を送るために過不足なく摂りましょう!
1.砂糖とお米は同じ?
糖質といっても砂糖とお米は別もの。
まず、糖は三大栄養素の中の炭水化物に分類されます。
炭水化物は「糖質」と「食物繊維」で構成されています。
さらに、「糖質」には「糖類」と「多糖類」があり、「糖類」は「単糖類」と「二糖類」に分けられます。
「糖類」である「単糖類」とは糖が1つ、「二糖類」は糖が2つくっついているもの。
「糖類」にはブドウ糖や果糖、ショ糖(砂糖)、乳糖、麦芽糖、オリゴ糖などが属します。一般的に使われている砂糖は糖類ということになります。
一方、多糖類はたくさんの糖がくっついているもの。多糖類を多く含む食品は穀類や芋類、果物、こんにゃく、寒天など。お米も多糖類に属します。
多糖類と糖類の違いは、糖が身体に吸収されるまでの過程です。
糖は身体の中でエネルギーとして使われます。
糖が身体に吸収されるには、糖が1つだけの単糖まで分解される必要があり、多糖類のように糖がたくさんくっついている方がゆっくり吸収されます。そのため、多糖類は食後の血糖値の上昇が穏やかで、お腹がすきにくいといった特徴があります。
腹もちがよいということは、甘いものや間食を欲しくなりにくいということです。ご飯をしっかりと食べることは過剰なエネルギー摂取を避ける方法でもあります。
逆に砂糖を含む二糖類や単糖類は、糖が短いまたは単体であるため体内で吸収されやすく、食後の血糖値を急上昇させます。
そのためインスリンが大量に分泌され、肥満の原因になったりもします。急上昇した血糖値が一気に下がるとまた甘いものが欲しくなり、お菓子など食べてしまうという悪循環に陥りやすくなります。
2.お米は糖質だけじゃない!いろいろな栄養素も摂れる優れもの
お米は糖質のほかに食物繊維やたんぱく質、ビタミン、ミネラルなど色々な栄養素を含んでいます。特に注目してほしいのは「たんぱく質」の含有量。
日本人がたんぱく質をどんな食品から摂っているのかを示したものが下図です。
なんと、たんぱく質の多くを「穀物」からも摂っているのです!
炊飯後のご飯、お茶碗1杯分(約150g)に含まれるたんぱく質は約3.8g。ご飯2合(約660g)を食べると約17gのたんぱく質が摂れます。これはおおよそ鮭1切れ分のたんぱく質に相当します。
さらに、ご飯と大豆食品を一緒に食べることで、摂取できるたんぱく質が増えます。
体重を減らしたいからなどといってお米の摂取量を減らすと、たんぱく質の摂取量も減ってしまいます。
「だったら肉や魚を食べればいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、動物性のたんぱく質には脂質も多く、脂質の過剰摂取になる場合もあります。
他にもお米に含まれる栄養素はこんなに役立っています。
●ビタミン・ミネラル
糖質の代謝を助ける。
●食物繊維
腸内環境を整える。野菜だけではなくお米からも摂取ができる。主食としてお米を食べると食物繊維を摂る機会も増える!食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなり腸内環境を整える。
お米を炊いて「ご飯」として食べると水分も補給できるので、夏場の熱中症予防やお肌の張りを保つのに役立ちます!
3.お米が主食の「和食」も優れもの
優れものの「お米」が主食でお味噌汁とおかずがある和食は、不足分しがちな野菜や豆類、魚類などさまざまな栄養素が摂れ、さらに主食のご飯に脂質が少ないため、脂質の過剰摂取を抑えながら美味しく食べられます。
年齢を重ねると、消化器官の動きや消化酵素の分泌量が低下し食が細くなりがちです。
食べられないからと言って食べずにいると低栄養の状態に。
特に高齢者は、低栄養が続くと心身が疲れやすく弱った状態、いわゆるフレイル(虚弱)を引き起こしやすくなります。フレイルは寝たきり状態へと繋がることもあるため、積極的に予防することが大切です。お米は脂質が少ないため、消化器官への負担が少なく効率の良いエネルギー源になるという点でもお勧めです。
さらにお米は「粒」食なので、パンや麺類よりも咀嚼(そしゃく・噛むこと)が促されます。
咀嚼は顎や舌の筋肉を使うため、食べる・話す器官の機能低下の予防につながります。また、咀嚼運動は脳に刺激を与え活性化させます。噛むことで腸の動きが活発になり、便のスムーズな排出にも役立ちます。
日本人が主食としてきた「お米」は、健康的な人生を過ごすために役立つ食材です。日本で自給可能なお米。お米を美味しく食べることで日本の食文化と農業を守ることにつながります。
お米と砂糖には違いがあるということはおわかりいただけましたでしょうか?
「糖質」の中でも種類があるということです。
毎日のように菓子パンや甘いもので食事を済ますことも可能ですが、理想的な栄養バランスの食事をとり今の自分・少し先の自分の健康のために、また日本の未来を守るために、ご飯食を増やしてみてはいかがでしょうか。
【関連コラム】
▶糖質とは?「炭水化物・糖質・糖類」の違いとアスリートにとっての役割
【参考】
●農林水産省 Webサイト
お米と健康・食生活
https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/okome_majime/content/health.html(2024年11月15日利用)
●厚生労働省
国民健康・栄養調査報告書
https://xn--mhlw-zb4cya7a.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r1-houkoku_00002.html(2024年11月15日利用)
●国立研究開発法人・医薬基盤・健康・栄養研究所
国立健康・栄養研究所
食品群別栄養素等摂取量
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/kenkounippon21/eiyouchousa/kekka_syokuhineiyouso_chousa_nendo.html(2024年11月15日利用)
●文部科学省
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年