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スポーツと食事・栄養

食べ方も大事?!食トレで見落としがちなポイントとは

2024年10月29日

 
 身体づくりやパフォーマンスアップのために、食事は大事な要素のひとつ。しかし「何を食べたらいいか」を気にしている人はたくさんいますが、「どう食べるか」まで意識ができていない人に意外と多く出会います。せっかく頑張って栄養バランスを整えたとしても、それが身体の中で使われないと意味がありません。食べたものを身体の中でしっかり役立てるためのポイントをお伝えします。


「消化・吸収」、「代謝」、「排出」の力を上げる


 食べ物は、口で咀嚼され、食道、胃、小腸、大腸、肛門を通って、残りカスが肛門から便として排出されます。まずは身体の中に取り込まなければ始まりません。そこで重要なのが「①消化・吸収」。そして食べ物をエネルギーとして使うためには、「②代謝」をあげる必要があります。さらに、残りカス、老廃物は身体から「③排出」しなければなりません。この3つに着目し、食べたものを身体の中でしっかり役立てるための実践方法をご紹介します。




よく噛む



 消化の入口は口。私たちが意識的に動かすことのできる唯一の消化器官が“口”であり、咀嚼です。食べ物をよく噛むことで、唾液がでます。唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれており、主にデンプンを分解し、消化を助けてくれます。また、噛むことによって口の中から感覚情報が脳に送られ、自律神経を刺激して消化管の運動が活発になります。その結果、食べたものが身体に吸収されやすくなり、さらにスムーズなお通じにも繋がるので、「排出力」も高まります。

 噛むことを意識することも大切ですが、自然と噛めるような工夫をすることで、意識をしなくても噛む回数が増えます。①食材を大きめに切る、②火を通し過ぎず歯応えを残す、③食感の異なる食材を組み合わせる、④充分な食事時間を確保する、などできることから取り組んでみましょう。



食事中に水やお茶をがぶ飲みしすぎない

 
 食事中の水分補給は、コップ1杯程度(200~250mlくらい)を目安にしましょう。食事中に水分を飲み過ぎてしまうと、一時的に胃液が薄まると言われています。適量であれば3分程度で胃液の濃度は戻りますが、極端に多い量を飲んでしまうと、消化機能に影響を及ぼす可能性があります。一口ずつ食べ物を流し込むように水分を摂ることは避けましょう。流し込む癖がある人は、しっかり噛めていない人も少なくありません。よく噛んで唾液を出すことで飲み込みやすくなるので、その点でも噛むことは大切です。汁物がある場合は汁物の水分だけでも十分飲み込みができるはずです。



腸内環境を整える


 消化・吸収や排出力を高めるためにも、腸内環境を整えることは重要です。消化・吸収力が高まると、栄養素がよりスムーズに身体に取り込まれ、代謝も上がってきます。


発酵食品・食物繊維・オリゴ糖の摂取

 
 腸内環境を整えるためには、善玉菌をとることと、善玉菌のエサになるものを摂ることがよいと言われています。ベースは、バランスの整った食事。何か特別な食品ばかりを偏って食べるのではなく、主食、主菜、副菜、汁物を揃えたメニューを心がけましょう。近年では食物繊維の摂取量が減っていますが、お米など、穀物摂取量の減少が大きな要因の1つになっています。日本人になじみのあるお米は、主なエネルギー源となるだけではなく、食物繊維を摂るためにも適した食材です。その他、腸内環境を整えるためにおすすめの食材をご紹介します。


発酵食品

 
 発酵食品を摂取することで、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を直接摂取できます。これらの菌は体内に一時的にしか留まらないので、定期的に摂取しましょう。




食物繊維


 食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」に分けられます。水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、不溶性食物繊維は便のカサを増やし、腸の働きを活発にしてお通じを整えてくれます。厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日あたりの「目標量」を、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上としています。摂りすぎると下痢や便秘になることもあるので、目標量を目安にしましょう。




オリゴ糖


 オリゴ糖も善玉菌のエサになります。大豆、たまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどの食品にも多く含まれています。急に摂取したり、過剰に摂取すると下痢を起こしたり、おなかが張ったりすることがあるので、摂りすぎには注意しましょう。



ビタミン・ミネラルの摂取

 食事からとった、たんぱく質、脂質、炭水化物をエネルギーとして使うためには、ビタミン、ミネラルが必要です。「食事はしっかり食べているけど、体組成の変化やトレーニングの効果が感じられない」という人は、ビタミン、ミネラルの摂取が少ないことも、要因のひとつかもしれません。肉類、魚介類、大豆製品などに加え、野菜類、海藻類、きのこ類なども積極的に摂取し、バランスのよい食事を心がけましょう。

 

 パフォーマンスアップや身体づくりのためには、「運動」、「休息・睡眠」、「食事・栄養」の3つのバランスを整えることが重要です。そして、「3つのバランスを意識できているし、ちゃんと食べているけどなかなか変化がない」という人は、「食べ方」にぜひ着目してみてください!少しの意識で変化があるかもしれません。ぜひ試してみくださいね。



参考

●鈴木志保子,「理論と実践 スポーツ栄養学」,日本文芸社,2018

●咀嚼行為の自律神経調節効果:若年女性におけるガム咀嚼効果の検討
宮澤洋子,高田晴子,橋本和佳,服部正巳; 教育医学 第62巻第2号:336-345,2016

●A Glass of Water Immediately Increases Gastric pH in Healthy

●厚生労働省 e-ヘルスネット 腸内細菌と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
(2024年10月29日利用)

●厚生労働省 e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
(2024年10月29日利用)