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成長期の女性の身体の変化とは?

2024.8.31

 思春期と言われる第二次成長期は、身体が大きく変化する時期。個人差が大きいですが、女性は8、9歳~17、18歳あたりがその時期にあたります。



身長・体重の変化

 
 身長が大きく伸びる時期は2回あります。1回目は産まれてすぐの赤ちゃんの頃で、2回目が第二次成長期。女性では11歳ごろがピークと言われています。またこの時期は体重が増えるのも自然なこと。成長期の身長増加量と体重増加量は相関があると言われており、身長と体重はセットで考える必要があります。


月経


 月経とは、妊娠が成立しなかった場合に増殖した子宮内膜がはがれ落ちて排出される現象で、「約1ヶ月の間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」と定義されています。一般的には平均12歳で初めての月経(初潮)があるとされています。

 
 女性の体には子どもを産むために必要な機能が備わっており、成長とともに子どもを産む準備を始めます。月経がきたということは、成長に必要なホルモンが分泌され、体が健康に成長しているというサイン。初潮があって、その後徐々に月経周期が整い定期的に月経がきているということは、体が正常に機能しているという目安にもなります。月経が正常な状態ではない場合には、体からの「ヘルプ」信号です。その場合は放置せず、専門機関への相談・受診をし、体をいたわってあげましょう。そして、将来の妊娠や健康な生活のために今の生活を見直していきましょう。



正常な月経と、月経異常は以下のように示されています。

月経過多について、実際の出血量を測ることは難しいですが、生理用ナプキンの交換の間隔がひとつの目安になります。1時間ももたないような出血がある場合は、専門家に相談しましょう。

 
また、月経異常には無月経も含まれます。無月経には2種類あり、満18歳になっても月経が見られない場合を「原発性無月経」、これまであった月経が3か月以上停止した場合を「続発性無月経」と言います。無月経になる原因は様々ありますが、アスリートの場合、運動によるエネルギー消費量に見合ったエネルギー量を摂取できていない「利用可能エネルギー不足(Low Energy Availability: LEA)」が原因で無月経となっているケースが多くみられます。無月経が長期間にわたると回復が難しいことが多くなるため、15歳になっても初潮が見られない場合や、3か月以上月経が無い場合も、専門家への相談が勧められます。


過度な痩身思考は危険

 先にも述べた通り、第二次成長期に体重が増えることは当たり前なことであり、健康に成長していくために必要なことです。特に体重が軽い方が有利とされている競技に取り組んでいるアスリートでは無理なダイエットで無月経になったり、貧血、疲労骨折、骨粗鬆症のリスクが高まったりします。エネルギー不足になっていないか、確認するためにはBMI※1や標準体重との比較が目安になります。18歳以上はBMI18.5以上、18歳未満は標準体重※2の90%以上を目指しましょう。 

※1:BMIとは「体重(kg)÷身長(m) ÷身長(m)」で算出される値。肥満や低体重(やせ)の判定に用いる。

※2:標準体重の計算方法(平田法)15歳以上
【身長160㎝以上】(身長cm-100)×0.9
【身長150~160㎝】(身長cm-150)×0.4+50
【身長150㎝以下】(身長cm-100)



特に気を付けたい栄養素


健康に成長するためには食事からの栄養摂取は重要です。特に気を付けたいポイントは次の通りです。


エネルギー不足にしないための炭水化物

 成長期は、身体のあらゆる器官が成長している時期であり、たくさんのエネルギーを必要とします。アスリートは加えて運動するためのエネルギーも必要になるため、しっかりと摂る必要があります。体重が増えることを気にして極端に食事量を減らしてしまうと、必要なエネルギーが不足してしまい、健康な成長を妨げてしまう要因に。主なエネルギー源となる炭水化物を中心に、バランスのよい食事をしっかり食べることが重要です。


カルシウム・ビタミンD

 骨の成長がピークになる成長期はカルシウムは積極的に摂りたい栄養素です。1日当たりの必要量は、8~11歳で750㎎、12~14歳で800㎎、15歳以上650㎎。中学生時期は人生の中で最もカルシウムが必要な時期になります。乳製品、大豆製品、海藻、小魚などから積極的に摂りましょう。また、骨の形成にはビタミンDも必要になります。きのこ、卵、魚などに多く含まれるため、併せて摂取しましょう。

鉄・ビタミンC


鉄の1日あたりの必要量は、月経ありの場合、10~14歳で12mg、15歳以上で10.5㎎。月経による鉄損失があるため、鉄も積極的に摂りたい栄養素です。レバー、肉、貝、海藻、納豆、小松菜などに多く含まれています。鉄の吸収を高めるために野菜や果物、じゃがいも、さつまいもなどからビタミンCも一緒に摂りましょう。



成長期は身体が大きく変化する時期。アスリートもそうでない人も、健康に成長し、将来にわたり充実した人生を過ごすためにも、食事をしっかりとって適正な体格を目指していきましょう。



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参考

●松田貴雄,佐藤弘樹,鯉川なつえ,関口晃子,馬見塚尚孝. 女性アスリートの身長増加量は成長ピーク直前の年間体重増加量と相関する ―日本人女性アスリートの高身長化に向けての 考察―.日本臨床スポーツ医学会誌..2018,Vol26,No1.121-127
https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/26-1/121-127.pdf
(2024年8月31日利用)

●独立行政法人 日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンススポーツセンター 国立スポーツ科学センター 女性アスリートのための栄養・食事ガイドブック
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/column/woman/femaleathlete_guidebook.pdf
(2024年8月31日利用)

●独立行政法人 日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンススポーツセンター 成長期女性アスリート指導者のためのハンドブック
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/business/female_athlete/program/tabid/1331/Default.aspx
(2024年8月31日利用)

●厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
(2024年8月30日利用)