2024.6.30
スポーツをしている人も、そうでない人も、最近では糖質を気にしている人は多いのではないでしょうか。スーパーやコンビニに並んでいる商品を見ると、パッケージに「糖質オフ」、「糖類ゼロ」といった表示を目にすることも増えてきました。糖質と糖類は何が違うのか、必要なのか、控えた方がいいのか、アスリートであれば知っておきたいそれぞれの特徴についてご紹介します。
炭水化物・糖質・糖類」の違い
最近では「糖質」が注目されていますが、糖質とは、炭水化物の一種。炭水化物は、たんぱく質、脂質と並んでエネルギー産生栄養素と言われています。主にエネルギー源として体内で利用されるため、むやみに避けることはNG。特にアスリートでは持久力アップやリカバリー、身体づくりなどにも必要であり、パフォーマンスアップには欠かせない栄養素です。
炭水化物の分類
上記の図の通り、炭水化物は、食物繊維と糖質の総称です。糖質は体内で消化吸収されてエネルギー源となります。食物繊維は体内の消化酵素では消化できませんが、整腸作用など身体の中で有用な働きをします。糖質は糖類、多糖類、糖アルコールなど分けられ、さらに糖類は単糖類と、二糖類に分けられます。
もうこれ以上消化できない物質がブドウ糖(スクロース)、果糖(フルクトース)などの単糖類。単糖が2個つながったものがショ糖(スクロース)、乳糖(ラクトース)、麦芽糖(マルトース)などの二糖類になります。
単糖が10個以上つながった物質が多糖類で、代表的なものがでんぷん。ごはんやパン、麺類など、いわゆる主食に含まれている成分です。
糖質がエネルギーとして使われる仕組み
食事から糖質を摂取すると、様々な消化酵素によってブドウ糖(グルコース)にまで分解され、小腸で吸収されます。ブドウ糖は特別な場合を除いて、脳の唯一のエネルギー源であり、筋肉のエネルギー源にもなるため、スポーツをする人も、そうでない人も、欠かせない栄養素です。
エネルギーとして使われなかったブドウ糖は筋肉や肝臓で、グリコーゲンという形で貯蔵されます。長時間、運動を続け血液中のブドウ糖が減ると、貯蔵されていたグリコーゲンが分解されエネルギー源として使われます。しかし、グリコーゲンの貯蔵量には限りがあります。貯蔵していたグリコーゲンがなくなってくると筋肉などのたんぱく質を分解しブドウ糖に変換、エネルギーとして使います。つまり、運動中はブドウ糖が枯渇しないように、適量の摂取が必要になります。
逆に、ブドウ糖を摂りすぎると、エネルギーとして使われなかったものは脂肪となって蓄積されるので、摂りすぎには注意が必要です。
ごはんと砂糖は同じようで違う
先の説明の通り、炭水化物・糖質・糖類は、単糖類の組み合わせや繋がっている個数によって違いがあります。ブドウ糖がたくさん繋がっていればいるほど、消化吸収には時間がかかります。ごはんの糖質と砂糖を比較する絵を見かけることがありますが、これは単純に糖質量のみを比較しており、大きく誤解を招く表現です。またごはんには糖質以外にもたんぱく質やビタミン、ミネラルも含まれており、その他の栄養素も摂ることができます。
では糖類は摂らない方がいいのか、と言うとそうではありません。多くの糖類は吸収が速いため、例えば運動中、エネルギーとして使ったブドウ糖を素早く補給したい場合は、糖類の入ったドリンクを飲む場合もあります。逆に、運動していない時に、糖類が多いジュースやスポーツドリンクを摂りすぎてしまうと、余剰分として脂肪になってしまうこともあります。アスリートにとって大事なのは、いつ、どんなものから糖質を摂るか、戦略的に考えて摂取することです。
糖質は、生きていく上で重要なエネルギー源であり、アスリートにとっても欠かすことのできない栄養素です。自分にとって必要なものを、場面によって使い分けられるようにしましょう。
参考
●柴田克己・合田敏尚編(2004),「基礎栄養学」国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所監修,(株)南江堂
●厚生労働省 e-ヘルスネット 炭水化物/糖質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html
(2024年6月30日利用)
●厚生労働省 e-ヘルスネット ブドウ糖
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-030.html
(2024年6月30日利用)
●厚生労働省 e-ヘルスネット 果物
healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-01-003.html
(2024年6月30日利用)