2024.5.25
ジュニアアスリートの悩みで非常に多いのが、身長に関する悩み。遺伝的な要素が大きいと言われていますが、食事、睡眠も大事な要素です。身長を伸ばすために取り組みたい食習慣、生活習慣についてお伝えします。
成長スパートとは
人生の中で、身長がぐんと伸びる時期が2回あります。1回目は乳幼児期で、2回目は中学生の時期。女子は11歳、男子は13歳でピークを迎えると言われています。この時期にしっかりと食べて、睡眠をとることで、遺伝的に予測される身長よりも、さらに伸びる可能性はあります。ただし、成長スパートの時期は個人差も大きく、早めに来る人もいれば、遅めにくる人もいます。あくまで目安として捉え、焦らず着実にできることを続けていきましょう。
身長を伸ばすための食事のポイント
「これを食べれば必ず身長が伸びる!」という魔法の食べ物はありません。成長期に必要な栄養素を毎日しっかりと食べることが大切です。
エネルギーをしっかり摂る
成長期のアスリートは、日常生活を送るためのエネルギー、成長のためのエネルギー、運動のためのエネルギーと、たくさんのエネルギーを必要とします。
ごはん、パン、麺類など、主なエネルギー源となる炭水化物を中心とした食品を摂りましょう。必要な量も多いため、3食の食事に加えて、練習前後に補食を入れます。最近では朝食を食べない人も多いですが、1食分の食事量が減ってしまうと、1日の必要量を摂取することがかなり難しくなります。朝食は必ず食べる習慣をつけましょう。
骨や筋肉の材料となる栄養素の摂取
主に身体づくりに必要なたんぱく質、骨の材料であるカルシウムや、それらの代謝に必要なビタミンD、ビタミンKなどが必要になります。
たんぱく質は筋肉づくりに必要な栄養素で、骨の構成成分でもあるため、成長には欠かせません。そして骨の形成にはカルシウムも重要な栄養素のひとつ。魚、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、豆腐、納豆などの大豆製品は、たんぱく質、カルシウムが豊富な食品です。
カルシウムの吸収量は限られていますが、吸収を助けてくれるのがビタミンDとビタミンK。ビタミンDは魚やきのこ、ビタミンKはほうれん草、小松菜などの色の濃い葉物野菜や、納豆、海藻に多く含まれています。
適切な睡眠と生活習慣
成長ホルモンが分泌される睡眠は成長期に欠かせません。毎晩適切な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとることが大切です。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、小学生は9~12時間、中学・高校生8~10時間が推奨されています。
規則正しい生活習慣
睡眠の質をあげるために、まずは規則正しい生活習慣を身につけましょう。身体の中には体内時計があり、ホルモンの分泌を調整するなど、睡眠に備える働きがあります。なるべく毎日同じ時刻に寝ることで、体内時計が整えられ、スムーズに睡眠に入ることができます。体内時計は光の影響も大きく受けます。人の体内時計は24時間より長くできているため、ズレを調整するためには朝に光を浴びることが効果的です。逆に夜に光を浴びると、体内時計が遅れてどんどんズレてしまうため、注意が必要です。部屋の照明は白い光よりも、赤みのある光の方が理想的と言われています。また、消化器官にも体内時計が存在するため、朝、昼、夕と3食規則正しく食べることは睡眠の質を上げることにも繋がります。
入浴タイミング
入浴も睡眠と関係しています。就寝前に一時的に体温をあげておくことがポイント。体温が下がるタイミングで眠りやすくなると言われています。理想の入浴タイミングは就寝の2~3時間前。入浴方法はその日の体調や好みに合わせて選択すれば問題ありませんが、体温を上げるためにはシャワーではなく、湯舟に浸かることがおすすめです。生活習慣のひとつとして意識して取り入れてみましょう。
身体の土台が作られる成長期は、身長が伸びる時期でもあります。成長に必要な食事や睡眠をしっかりと意識してとりましょう。
▼参考コラム
補食はスポーツや身体づくりの味方!うまく活用しよう!
ジュニアアスリートのための栄養戦略
参考
●女性のスポーツ参加促進事業 平成27年度スポーツ庁事業「女性アスリート育成・支援プロジェクト 女性アスリートの戦略的強化のための調査研究」にて作製
https://www.mext.go.jp/sports/content/20210331-spt_kensport01-000011954_PDF11.pdf
(2024年5月25日利用)
●農林水産省 みんなの食育 大切なカルシウム
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/topics/topics1_05.html
(2024年5月25日)
●厚生労働省 e-ヘルスネット カルシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
(2024年5月25日)
●厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf
(2024年5月25日)
●田中清,桒原晶子,青未空,上西一弘.骨そして筋肉の健康における栄養素・非栄養素の役割 骨と栄養素の視点から.日本栄養・食糧学会誌.2023,第76巻,第5号,283-290
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/76/5/76_283/_pdf
(2024年5月25日利用)
●厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド 2023
https://www.rinspo.jp/files/topics/topics240219_02.pdf
(2024年5月25日)
●厚生労働省 e-ヘルスネット 快眠と生活習慣
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html
(2024年5月25日)