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噛む健康・カラダづくり

歯の健康管理が健康寿命を左右する?

2024.01.25

口・歯の役割とは

  

  

 口や歯を使う「食べる」「話す」機能は毎日使うものです。
私たちの健康的な生活を支えてくれている口や歯、毎日きちんとお手入れできていますか?

口や歯の機能が低下すると食べたいものが食べられず、食欲低下、栄養の偏り・不足といったことが起こります。その結果、筋量や筋力が減少し、免疫、代謝機能も低下します。筋力が落ちると運動機能が低下し、外出が億劫になったり、動くのが面倒になったりと引きごもりがちな生活となります。栄養不足や運動不足から代謝も低下するため、病気にかかりやすくもなります。この状態が長く続くと、うつ傾向や認知機能の低下にもつながることがあります。つまり、口と歯の健康を守ることは、「健康寿命を延ばす=健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を延ばす」ことにもつながるということです。

  

私たちの健康的な生活を守るために大切な口や歯。歯は、一度失ってしまうとどんなに良い治療をしても、まったく同じようには戻りません。

  

  

歯を失う大きな原因は2つ

  

 歯を失う2大原因は『歯周病』『むし歯』です。

特に、歯周病はサイレント・ディシーズ(静かな病気)と言われ、ひどくなるまで自覚症状がなく進行してしまうことも。糖尿病、高血圧症、心臓病と同様、生活習慣病のひとつとされています。

歯周病は、歯を失ってしまうだけでなく、他の病気を引き起こす恐れもあります。多くの研究により、糖尿病、心疾患や慢性腎臓病、呼吸器疾患、骨粗鬆症、関節リウマチ、悪性新生物(がん)、早産・低体重児出産など、さまざまな全身疾患と関連していることが報告されています。

  

  

新しい日本の取り組み

  

 様々な研究が進み、歯の健康を守ることは全身の健康を守ることに繋がることが明らかになってきたため、日本ではさらなる取り組みがスタートしています。日本政府は2025年に『国民皆歯科健診制度』の導入を目指し動き始めています。それを受けて、2022年4月に日本歯科医師会が国民の歯の健康を維持させるために「国民皆歯科健診実現プロジェクトチーム」を発足させました。

現在、日本では1歳6カ月と3歳で歯科健診があり、小学生~高校生まで毎年学校で歯科健診があります。しかし、大人になると義務付けられている歯科健診がなく自分の判断で受診しなければいけません。大人になってからの歯科健診の受診率はとても低く、歯のトラブルを抱える人が多いのが現状です。

国民皆歯科健診とは、大人になってからも定期的な歯科健診を義務化していきましょうというものです。健康の増進・健康寿命の延伸で、健康な人が増えることで医療費の削減を目指しています。

  

  

歯科健診と歯科検診

  

「歯科健診」「歯科検診」の違いはご存知ですか?

  

歯科

歯科健診とは、歯の健康状態を調べることを目的として行われる検査のこと。

国や行政が実施している「歯が健康であるかのチェック」のことを指します。

 

一般的に定期健診や1歳6ヶ月健診・3歳児健診・学校歯科健康診断・自治体で行われる歯周疾患健診特定健康診査といった特定健診を指します。

歯科健診では、環境や器材が歯科医院に比べ充実していないので、目で見て分かる問題を見つけ、歯科医院への受診をすすめたり保健指導をします。その場で歯のクリーニングや虫歯の治療をする事はなく、あくまでもチェックのみになります。

   

●歯科

歯科検診とは、むし歯や歯周病などになっていないか早期発見すること。

歯科医院などで行う検査です。

 

必要に応じてレントゲン撮影を行い、細部までチェックし治療や予防処置の方針を決めるためのものです。

学校や自治体での歯科健診で「異常なし」と診断されても、歯科医院での歯科検診で異常が見つかることもあります。

  

  

これからは予防歯科の時代

  

 予防歯科とは、歯周病やむし歯になってから治療をするのではなく、なる前に正しい方法で予防すること。先ほどの国民皆歯科健診もこれにあたりますが、予防歯科を積極的に行うことで歯周病やむし歯のリスクを減らすことができます。もし何か異常が見つかっても早期発見できるため、悪化しないうちに治療することができます。

歯科先進国といわれている北欧や米国では80歳時点での平均残存歯数が約25本に対し、日本は約15本。日本は先進国の中で特に歯科健診の受診率が低く、その差の大きな要因と考えられているのが、定期的な歯科健診の受診率です。歯科先進国を中心に世界では予防歯科の意識が高まっていますが、日本では症状が現れてから歯科受診をする方が多いのが現状です。

  

~予防歯科のメリット~

●全身の健康状態を維持・改善する

予防歯科を受けていると、口・歯の状態が良くなり、それが全身の健康状態にも影響します。

●治療の負担が減る

歯周病やむし歯の状態が悪くなってから歯科受診すると、通院期間も長くなり治療費がかさみます。悪くなってから通うということを繰り返していると、さらに歯を削ることになったり、他の治療が必要となったりと治療費がかさんでしまいます。

  

最近歯科を受診していない・・という方も、これを機に受診してみてはいかがですか?

歯医者さんに通う習慣を身に付け、口・歯の健康を守り、生涯にわたって元気に過ごせるよう心がけましょう!!

   

   

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参考

●e-ヘルスネット 歯科健診
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-039.html(2024年1月25日利用)
●8020推進財団「歯を失ってしまう原因と対策」
https://www.8020zaidan.or.jp/achieve/cause_measure.html(2024年1月25日利用)
●8020推進財団「これからの8020」
https://www.8020zaidan.or.jp/achieve/future.html(2024年1月25日利用)
●厚生労働省 平成28年歯科疾患実態調査