2023.9.22
たんぱく質とアミノ酸
たんぱく質は私たちの身体を作る材料となる大切な栄養素で、20種類のアミノ酸からできています。身体の様々な働きを担っているアミノ酸は私たち人間や生き物にとって必要な成分。
たんぱく質を構成している20種類のうち、ヒトの身体の中で作ることができない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。この必須アミノ酸は食べ物から摂らなければなりません。
たんぱく質の『質』を表すアミノ酸スコア
たんぱく質の合成に必要な必須アミノ酸量は種類によって異なり、「アミノ酸評点パターン」として点数化されています。その点数は最大100(計算で100以上となる場合でも100とする)です。
アミノ酸評点パターンを100としたときに、必須アミノ酸がどのくらい充足しているかを表すのがアミノ酸スコア。アミノ酸スコアのうち、最も不足しているアミノ酸を「制限アミノ酸」といい、体内ではこれに合わせて利用されます。つまり、最も不足しているアミノ酸によって栄養価が制限されてしまうのです。
逆に、アミノ酸スコアが100に近いほど体内で利用されすい「質のよいたんぱく質」であるといえます。「質のよいたんぱく質」は成長期や身体作りをしている方におすすめです。私たちの身近な食べ物のアミノ酸スコアを見てみましょう。
お米と大豆のアミノ酸スコア
図1.お米と大豆のアミノ酸スコア
日本人の主食、お米のアミノ酸スコアは80(アミノ酸評点パターン(mg/gたんぱく質)<WHO/FAO/UNU 2007年 18歳以上>,日本食品標準成分表2020年版(八訂)を用いて弊社計算)で、制限アミノ酸がリシンです(図1)。
お米だけでなく、小麦やとうもろこしの制限アミノ酸もリシンで、穀物はアミノ酸スコアが低いのが特長です。
植物性たんぱく質で畑の肉といわれている大豆はアミノ酸スコアが100。一方、動物性たんぱく質の肉や魚、卵のほとんどがアミノ酸スコア100です。
アミノ酸は補い合える
アミノ酸スコアが低い食品でも、高い食品と組み合わせることで不足しているアミノ酸を補えることをアミノ酸の補足効果といいます。
お米のアミノ酸スコアは100に届きませんが、大豆と組み合わせることでその値は100になります。大豆にはお米の制限アミノ酸であるリシンが豊富に含まれるため、不足を補ってくれるのです。
ごはんに味噌汁や納豆、豆腐といった日本人の伝統的な食べ方はとても理にかなっていますね。日本人がホッとする味わいの出汁の材料、かつお節もお米のアミノ酸スコアを補ってくれる食べ物です。先人の知恵、素晴らしいと思いませんか?
せんべいでもアミノ酸スコア100
健康志向の高まりでたんぱく質が注目されています。酒田米菓では質のよいたんぱく質・アミノ酸スコア100となるせんべい「ミライオニギリ」を開発。
せんべいの主原料の「お米」に大豆を組み合わせ、アミノ酸スコア100になるよう配合を調整、また豊かなかつお節風味に仕上げました。
ミライオニギリのたんぱく質量が約2倍になったミライオニギリプロもアミノ酸スコア100。かつお節風味をアップさせ、日本人が好む味を意識しました。
ミライオニギリもミライオニギリプロも質が良いたんぱく質が摂れるだけでなく、おにぎり約1個分のエネルギーも摂れます。
アミノ酸スコア、もう少し詳しく!
アミノ酸スコアはアミノ酸評点パターン(mg/gたんぱく質)と、アミノ酸量(mg/gたんぱく質)より計算されます。
アミノ酸スコア=各食品中のアミノ酸量/アミノ酸評点パターン ×100
●WHO/FAO/UNUのアミノ酸評点パターンは発出されている年や年代別によって異なる
●アミノ酸量、たんぱく質量は、日本食品標準成分表の各訂、分析値など用いるデータにより異なる
上記理由により、アミノ酸スコアは変わってきます。
例えば、お米のアミノ酸スコアが65だったり93だったりするのは、Webサイトや書籍によって用いている元データが異なるためです。
アミノ酸スコアはたんぱく質に含まれる必須アミノ酸のバランスを表す指標なので、高いほど多く含まれているわけではありません。
牛乳のアミノ酸スコアは100。ある程度までは薄めてもアミノ酸スコアは100のままです。
たんぱく質の「質」を表すアミノ酸スコアは「量」ではない点に注意が必要です。
たんぱく質には「質」があるというお話、いかがでしたか?
動物性たんぱく質のアミノ酸スコアは100ですが、脂質が多くなってしまうという側面もあります。
植物性たんぱく質でアミノ酸スコアが高い大豆を取り入れたり、アミノ酸の補足効果も上手に利用したりとたんぱく質を賢く摂って、身体作りをしてみませんか?
参考
●厚生労働省 e-ヘルスネット 良質なたんぱく質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-036.html
(2023年9月16日利用)
●FAO/WHO/UNU Protein and amino acid requirements in human nutrition : report of a joint FAO/WHO/UNU expert consultation P180
https://apps.who.int/iris/handle/10665/43411(2023年9月16日利用)
●文部科学省 食品成分データーベース 日本食品標準成分表八訂
https://fooddb.mext.go.jp/(2023年9月16日利用)