2023.6.30
毎日の食事などで、なにげなく繰り返している「噛む」という行為が、身体づくりに役立つことをご存知ですか?
特に成長期には、「よく噛んで、味を感じて食べる」ことが歯や口の健康だけでなく、筋肉や心の発達にも重要であるといわれています。
今回は「噛む」ことと身体づくりの関係についてお伝えします。
噛むことが身体づくりに欠かせない理由
身体づくりには、炭水化物やたんぱく質などの栄養素を身体に取り込む必要があります。十分に取り込めないと身体は思ったように変化していきません。
では、食べた栄養素をきちんと取り込むためにはどうしたらよいでしょう??
それは、食べたものを「よく噛むこと」です!
食べ物をよく噛んで食べると、胃に入ったときに消化酵素がスムーズに作用します。そのため、必要な栄養素が体内に取り込まれやすくなります。また、噛むことで分泌が促される唾液には消化を助ける酵素「アミラーゼ」が含まれます。噛む回数が少ないと、食べ物が大きな塊のまま胃へ送られ、アミラーゼも不足するため、食べ物を消化・吸収するのに時間がかかり、消化不良や胃腸の負担が増えてしまいます。
他にも、咀嚼することで、口の中から大量の感覚情報が脳に送られ、消化管の運動が活発になります。きちんと咀嚼すると小腸や大腸が動き、スムーズなお通じにつながり、腸内環境も整いやすくなります。
腸内を良い状態に保っておくことも、身体づくりには大切です。
お腹の調子がイマイチだと、なかなか気持ちが前向きにならなかったり、集中できなかったりしませんか?腸は脳と密接に関係していて、腹痛や腹部の不快感とともに、不安といった気持ちの変化も引き起こします。さらに、気持ちの変化は消化管へと伝わり、消化管の運動を悪くさせることにもつながり、負のスパイラルに陥ってしまう可能性も。
胃腸の機能が悪くなり消化吸収が十分に行えない、さらには気持ちも後ろ向きなってしまってやる気がおきないということになってしまうかもしれません。
理想の身体をつくるためには、継続して取り組むことも大切なポイントです。お腹の状態を整えるとともに気持ちも整え、続けられる心身を維持していきましょう。
他にも噛むことが身体づくりに役立つ理由
よく噛むことは、余計な脂肪をため込まないことにも繋がります。
ゆっくりよく噛んで食べると、満腹中枢を刺激するため食事の量が少なくてもお腹がいっぱいになります。さらに、たくさん噛むことで、抗肥満効果のある神経物質ヒスタミンが放出されるため、食欲を抑制できます。だから、早食いは健康的な身体づくりには大敵なのです。
また、早食いをせず、ゆったり楽しく食事をするということは、緊張をほぐし精神状態を安定させる神経伝達物質セロトニンの分泌を増やします。日中のセロトニン増加は、睡眠ホルモンと言われるメラトニンを増加に繋がります。メラトニンは睡眠を促し、睡眠の質を高める作用があります。睡眠不足は、食欲をコントロールするホルモンの分泌バランスを崩します。
したがって、睡眠時間の短さによって、肥満になる確率も高くなります。さらに、充分な睡眠がとれるとエネルギー代謝を促進するホルモンが働き、太りにくい体質づくりにも役立ちます。
健康的な身体づくりをするために、簡単に始められること
それは毎回の食事を「よく噛むこと」です。
先ほど書いたように、噛むことには様々なメリットがあります。
どんな運動をしたら良いか、どんな食事をしたら良いかを考えるだけでははなく、どう食べるかもとても大切です。「噛むこと」もトレーニングのひとつと捉え、今日からトレーニングを始めましょう!
今までなかなか思うように身体が変わらなかったという方も、「噛む」ことを意識すると変化がみられるかもしれません。
参考
1)厚生労働省 e-ヘルスネット
速食いと肥満の関係 -食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」(2023年8月24日利用)
2)公益財団法人 腸内細菌学会HP