2023.3.15
スポーツに取り組む人が、パフォーマンスを最大限に発揮するために、また、怪我なく長く競技を続けていくために、食事は大切な要素のひとつです。
「食事が大事なことは分かっているけど、どんなメニューにすればよいか分からない」
「毎日続けていくのは大変そう・・・」
そんなふうに感じている人も多いかもしれませんね。難しい計算も必要ない、品数豪華なメニューでもない、毎日誰でも簡単に続けることができる食事の方法をお伝えします!
アスリートの理想の食事
アスリートの理想の基本の食事は6皿と言われています。
それぞれに役割りがあり、色々なものをバランスよく食べることがすすめられます。
6皿すべてが必要なことは分かっていても、実際に毎日揃えることは大変ですよね。
毎日練習で追い込んでいるアスリート、一人暮らしの学生アスリート、仕事をしながら家事も頑張るジュニアアスリートのママなど、食事を作ることだけに、時間、労力をかけらない方も多いと思います。
そんな方々にぜひおすすめしたい、簡単に続けられることができる食事の方法がこちらです!
3皿を揃えるだけでOK!
①ごはん②具沢山味噌汁③おかず
難しいことは考えず、この3皿を揃えるだけでOK!汁物と副菜をまとめて1品にし、具沢山の味噌汁にしましょう。味噌汁の具材は、野菜、芋、きのこ、海藻や、豆腐、油揚げなど、5〜6種類入れることがおすすめです。
トレーニングや練習量が多く、エネルギー消費量が多い時は、乳製品と果物をプラスしましょう。ごはんとおかずのバランスは6:4でごはんを多めにしっかり摂ることがポイントです。
ごはんはマルチ食材
アスリートに1番におすすめしたいのが、日本人が昔から親しんできた主食である、ごはんです。
ごはんには、身体を動かすエネルギー源となる炭水化物が豊富に含まれています。炭水化物は、エネルギーをたくさん使うアスリートはもちろん、運動をしない人にとっても重要な栄養素です。
そしてたんぱく質も摂れて、脂質が少ないことも特徴のひとつ。「ごはん=炭水化物」のイメージが強いですが、お茶碗普通盛り1杯(200g)のご飯には、5gのたんぱく質が含まれています。
雑穀を加えることで、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が摂れ、無理なく簡単に栄養価をアップすることができます。
また、どんなメニューにも合わせやすく、和食、洋食、中華、エスニックなど、様々な料理と組み合わせても美味しく食べられます。価格も安いので、毎日続けるにはもってこいの食材。食事を作る立場からみても、嬉しい食材ですね。
味噌汁のパワー
味噌汁の材料である大豆は、アミノ酸スコアが100。
筋肉作りにはかかせないたんぱく質ですが、身体の中で効率的に利用するためには、アミノ酸スコア※を100にすることがポイントです。
また、味噌は発酵食品なので、腸内を整えてくれる働きもあります。腸は免疫をつかさどる臓器であり、コンディションを整えるためには、腸内環境を整えることが必須。毎日無理なく続けられる味噌汁は、コンディション維持の強い味方です。
具沢山にすることで、ビタミン、ミネラルがしっかり摂れ、汁まで全部飲み干すことで、汁に溶け出た栄養素も、余すことなく摂ることができます。
更に、アスリートは発汗量も多いので、味噌汁からの水分、塩分補給が、熱中症対策にも繋がります。
具沢山味噌汁があれば、副菜のメニューや品数に悩むことなく、簡単に食事のバランスが整えられます。
※アミノ酸スコア:アミノ酸スコアは、食べ物に含まれる「たんぱく質」の量と「必須アミノ酸」がバランス良く含まれているかを数字で表した指標となるもの。
食べ方も大事?!よく噛んで食べる!
食事は「何を食べるか」に着目しがちですが、実は「どう食べるか」も同じくらい大事です。
せっかく整った食事を食べても、消化吸収されなければ意味がありません。
食べたものを消化吸収し、しっかり身体に取り込むために私たちが意識的にできることは「よく噛むこと」です。
噛むことは脳が活性化され、集中力もアップするので、練習や試合のパフィーマンスアップにも役立ちます。
噛むことを促すために、食事の作り方でもちょっとした工夫ができます。
主菜や具沢山味噌汁の具材は大きめに切ったり、硬めに茹でたりすることで、自然と噛むことができるようになります。
お米に雑穀をプラスしても、噛むことが促進されます。
目安としては1口30回と言われていますが、まずは「いつもより噛む」という意識で試してみてくださいね。
パフォーマンスアップのためには、日々のトレーニングの積み重ねが大切であるのと同じように、食事も毎日の積み重ねが大切です。だからこそ、毎日続けられる、簡単な方法だと嬉しいですよね。①ごはん②具沢山味噌汁③おかずの3皿スタイルをぜひ試してみてください。
参考
鈴木志保子,「理論と実践 スポーツ栄養学」,日本文芸社,2018
ハイパフォーマンススポーツセンター(https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/)